2018年6月13日(水)食品衛生法等の一部を改正する法律が公布されました。都道府県等を越える広域的な食中毒の発生や食中毒発生数の下げ止まり等、食品による健康被害への対応や、食品の輸出促進を見据えた国際標準と整合的な食品衛生管理の必要性等から、15年ぶりに法改正がなされました。食中毒患者数はここ10年間で約3万9000人から約2万人、食中毒事件数は約1500件から約1100件で推移していますが、2万人の下げ止まりを打開するための方策として次の改正がなされました。
2017年夏に関東を中心に発生した食中毒事案において、広域発生食中毒事案としての早期探知が遅れ、共通の汚染源の調査や特定が効果的に進まず、対応に遅れが生じたことの反省から、「地方自治体間、国と地方自治体間の情報共有等」、「国民への情報提供」、「食中毒の原因となる細菌(腸管出血性大腸菌O157等)の遺伝子検査手法の統一」など、対応が必要な事項を整理したうえで、改正食品衛生法では、広域的な食中毒事案の発生や拡大の防止等のため、関係者の連携・協力義務を明記するとともに、国と関係自治体の連携や協力の場(地域ブロックごとの広域連携協議会)を設置し、緊急を要する場合には、厚生労働大臣は、協議会を活用し、広域的な食中毒事案への対応に努めることとされました。
また、これまで地方自治体の条例に委ねられていた衛生管理の基準を法令に規定することで、原則として、すべての食品等事業者(食品の製造・加工、調理、販売等)に対し、食品等事業者自らが使用する原材料や製造方法等に応じて計画を作成し管理を行う「HACCPに基づく衛生管理」の導入が義務付けられました。ただし、小規模事業者や特定の業種に該当する事業者は、各業界団体が作成する手引書を参考に簡略化された「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を行うこととされています。
さらに、事業者による食品等のリコール情報を行政が確実に把握し、的確な監視指導や消費者への情報提供につなげ、食品による健康被害の発生を防止するため、事業者がリコールを行う場合に行政への届出を義務付ける「食品のリコール情報の報告制度」が創設されました。
他にも、①いわゆる健康食品における、事業者からの健康被害情報(特別の注意を必要とする成分等を含む食品による健康被害情報)の届出の義務化、②食品用器具・容器包装の安全性や規制の国際整合性の確保のためのポジティブリスト制度(規格が定まっていない原材料を使用した器具・容器包装の販売等の禁止等を行い、安全が担保されたもののみ使用することができる)の導入、③HACCPの制度化に伴う営業許可対象業種以外の事業者の届出制度の創設及び食中毒リスクを考慮しつつ実態に応じた営業許可の見直し、④輸入食品の安全性確保に向けた、HACCP に基づく衛生管理や乳製品・水産食品の衛生証明書添付の要件化、等があり、「広域的な食中毒事案への対応強化」、「HACCPに沿った衛生管理の制度化」、「食品のリコール情報の報告制度の創設」と併せて7つの柱となっています。
「広域的な食中毒事案への対応強化」は令和元年4月1日施行、「HACCPに沿った衛生管理の制度化」、「健康被害情報の届出の制度化」、「容器包装のポジティブリスト制度の導入」は令和2年6月1日施行、「営業許可制度の見直し・営業届出制度の創設」、「食品リコール情報の報告制度の創設」は令和3年6月1日施行となります。特にHACCPは各種説明会等で情報を入手し準備を進めておく必要があります。
[監修]中央法規出版
2018年6月の食品衛生法改正について
2019年12月17日表示に関する消費者庁からの所管保健所等に栄養成分表示に関する周知啓発
令和元年6月25日及び11月25日に消費者庁より「食品表示の適正化に向けた取組について」が公表され、食品の表示・広告の適正化を図るため、消費者庁と都道府県等が連携して実施する取組について周知が行われました。
この取組のうち、表示の適正化等に向けた重点的な取組として、猶予期間(令和2年3月31日まで)を踏まえた新基準への移行が促されていますが、新たに義務化された栄養成分表示については、消費者庁のチラシを活用することで食品関連事業者等への周知啓発を図ることとされています。
また、令和元年7月2日には消費者庁より「栄養成分表示の義務化に係る周知・普及について」(消食表第160号)が発出されています。この通知においても、栄養成分表示に係る研修会等への消費者庁からの講師派遣や消費者庁ウェブサイトで公表される各種資料の活用等により、栄養成分表示の義務化についてより一層の周知・普及を図ることが規定されています。
以上の行政文書からもわかるように、5年の猶予期間も、令和元年12月現在で残るところ数か月になりました。皆様の事業所におかれましても、所轄保健所から進捗状況の問合せ等があるかもしれません。
まだ新基準への移行が完了していない事業所におかれましては、特に注意する項目を下記にまとめましたので参考にしてください。一通り栄養成分表示の対応が完了した事業所も、再確認として下記のポイントをご確認ください。
なお、栄養成分を強調する場合、当該成分は公定法に基づき分析値を表示する必要があるため、合理的な推定により得られた一定の値を表示することはできません。
(2) 「砂糖不使用」や「食塩無添加」などの無添加強調表示をする場合は、いかなる糖類・ナトリウム塩も添加していないことのほか、代用となる原材料又は添加物も使用していないことなど、複数の要件を満たす必要があります。
(3) コラーゲンやショ糖など、食品表示基準別表第9に掲げられていない成分を強調する場合は、科学的根拠に基づき、販売者の責任において表示することとされています。なお、これらの成分の表示については、栄養成分表示と区別して、栄養成分表示に近接した箇所に記載することが望ましいとされています(栄養成分表示枠内に、食品表示基準別表第9に掲げられていない成分を表示してはいけません。)。
また、令和元年8月9日に消費者庁から関係団体に宛てて、通知「製造所固有記号制度の運用に係る周知・普及について」が発出されています。
「経過措置期間の終了が目前に迫り、現在、固有記号の届出が集中しており、その処理に時間を要しております。そのため、これから届出を行う食品関連事業者につきましては、期間に十分な余裕をもって届出をしてください。現在の届出件数と処理状況から、令和元年12 月27 日(金)までに届出されたものに関しては、令和元年度内に審査が完了いたしますが、それ以降に届出されたものについては、審査完了が年度をまたぐ可能性があります。」と記載されているため、年初の新製品で固有記号を利用する場合は届出期間につき注意が必要です。
なお、食品表示基準では、「製造所の所在地及び製造者の氏名又は名称」等の表示を義務付けていますが、原則として同一製品を2以上の製造所で製造している場合、したがって包装資材が共有化されている場合には、あらかじめ消費者庁長官に届け出た製造所固有記号の表示をもって「製造所の所在地及び製造者の氏名又は名称」の表示に代えることができます。この場合、消費者に販売される加工食品及び添加物には、応答義務が課されます。
新基準は、一般用加工食品にあっては令和2年4月1日製造分から、業務用加工食品にあっては令和2年4月1日販売分から完全適用になります。上記栄養成分と固有記号の他に留意すべき変更点の概要は以下の通りです。漏れがないか今一度ご確認ください。
添加物は原材料と明確に区分して表示します。一括表示様式においては、事項名として「原材料名」の次に「添加物」を設けたうえで添加物を重量順に表示します。なお、「添加物」の事項を設けず、原材料名欄において、原材料と添加物をスラッシュ「/」等の記号で区分したり、改行して添加物を表示したりする方法も認められています。
アレルギー表示については、個別表示が原則とされましたので、原材料名の直後に括弧を付して、特定原材料等を含む旨を「(○○を含む)」と表示します(「乳」については「乳成分を含む」と表示)。ただし、表示可能面積に制限があるなど、個別表示により難い場合や個別表示がなじまない場合は一括表示が認められています。「(一部に小麦・乳成分・ごまを含む)」等と表示しますが、一括表示においては、特定原材料等そのものが原材料に使用されている場合や、代替表記等で表示されている場合であってもすべてのアレルゲンを省略せずに表示する必要があります。
また、新基準においては、従来の「特定加工食品」とその拡大表記が廃止されましたので、「マヨネーズ」と表示した場合であっても、特定原材料「卵」を含む旨の表示が必要となります(代替表記は引き続き認められます)。
なお、令和元年9月19日に通知「食品表示基準について」が改正され、特定原材料に準ずるもの(推奨表示の対象品目)に「アーモンド」が加わったことにより、推奨品目は21品目となりました(特定原材料(義務品目)と合わせて28品目)。
最後に、新たな原料原産地表示制度は猶予期間が令和4年3月31日までです。計画的に対応することが望まれますが、令和2年4月1日の新基準の完全適用に合わせて新たな原料原産地表示に対応することもできます。また、同時に対応しない場合であっても、今できる準備をしておき無駄に時間を浪費することは避けましょう。今年度は添加物に関する表示の見直しが検討されています。将来の法改正の情報収集や準備にも留意しておくことが重要です。
この取組のうち、表示の適正化等に向けた重点的な取組として、猶予期間(令和2年3月31日まで)を踏まえた新基準への移行が促されていますが、新たに義務化された栄養成分表示については、消費者庁のチラシを活用することで食品関連事業者等への周知啓発を図ることとされています。
また、令和元年7月2日には消費者庁より「栄養成分表示の義務化に係る周知・普及について」(消食表第160号)が発出されています。この通知においても、栄養成分表示に係る研修会等への消費者庁からの講師派遣や消費者庁ウェブサイトで公表される各種資料の活用等により、栄養成分表示の義務化についてより一層の周知・普及を図ることが規定されています。
以上の行政文書からもわかるように、5年の猶予期間も、令和元年12月現在で残るところ数か月になりました。皆様の事業所におかれましても、所轄保健所から進捗状況の問合せ等があるかもしれません。
まだ新基準への移行が完了していない事業所におかれましては、特に注意する項目を下記にまとめましたので参考にしてください。一通り栄養成分表示の対応が完了した事業所も、再確認として下記のポイントをご確認ください。
栄養成分表示が適正に表示されているか、その確認すべきポイントは何か
【ポイント1】内訳表示と糖類表示
食品表示基準第6条に規定される推奨表示の対象成分である飽和脂肪酸や食物繊維を表示する場合は、下記のように飽和脂肪酸は脂質の内訳成分として、食物繊維は炭水化物の内訳成分として表示します。ただし、糖質と食物繊維のいずれかを表示する場合は、糖質と食物繊維の両方を表示します。 栄養成分表示 1包装当たり 糖類を表示する場合は糖質の内訳として表示しますが、炭水化物の内訳として、糖類のみ表示することもできます。【ポイント2】ナトリウムの表示
項目名は「食塩相当量」とし、ナトリウム(mg)の量に2.54を乗じて1000で除した値を、gの単位で表示します。【ポイント3】推定値と分析値
栄養成分を一定値で表示する場合、表示した一定値は食品表示基準別表第9に規定される許容差の範囲にあることが要求されます。ただし、惣菜などのように具材の大きさにバラつきがある食品は、栄養成分を許容差の範囲内に管理することが困難となります。このような場合は、合理的な推定により得られた一定の値として「推定値」又は「この表示値は、目安です。」のいずれかを含む文言を表示し、公定法によって得られた値とは一致しない可能性があることを示すことで、収去検査等により表示値が許容差の範囲外にあったとしても違反として取り扱うことはしないこととされています。また、合理的な推定により得られた一定の値を表示する場合は、その表示値の根拠資料の保管が必要です。なお、栄養成分を強調する場合、当該成分は公定法に基づき分析値を表示する必要があるため、合理的な推定により得られた一定の値を表示することはできません。
【ポイント4】強調表示の基準
(1) 栄養強調表示のうち、強化された旨や低減された旨の「相対表示」をする場合、基準値以上の絶対差に加えて、25%以上の相対差が条件として追加されました。なお、みそ及びしょうゆは、ナトリウムの含有量を25%以上低減するとその保存性及び品質を保つことが著しく困難となるため、条件となる相対差はみそ15%、しょうゆ20%とされています。(2) 「砂糖不使用」や「食塩無添加」などの無添加強調表示をする場合は、いかなる糖類・ナトリウム塩も添加していないことのほか、代用となる原材料又は添加物も使用していないことなど、複数の要件を満たす必要があります。
(3) コラーゲンやショ糖など、食品表示基準別表第9に掲げられていない成分を強調する場合は、科学的根拠に基づき、販売者の責任において表示することとされています。なお、これらの成分の表示については、栄養成分表示と区別して、栄養成分表示に近接した箇所に記載することが望ましいとされています(栄養成分表示枠内に、食品表示基準別表第9に掲げられていない成分を表示してはいけません。)。
また、令和元年8月9日に消費者庁から関係団体に宛てて、通知「製造所固有記号制度の運用に係る周知・普及について」が発出されています。
「経過措置期間の終了が目前に迫り、現在、固有記号の届出が集中しており、その処理に時間を要しております。そのため、これから届出を行う食品関連事業者につきましては、期間に十分な余裕をもって届出をしてください。現在の届出件数と処理状況から、令和元年12 月27 日(金)までに届出されたものに関しては、令和元年度内に審査が完了いたしますが、それ以降に届出されたものについては、審査完了が年度をまたぐ可能性があります。」と記載されているため、年初の新製品で固有記号を利用する場合は届出期間につき注意が必要です。
なお、食品表示基準では、「製造所の所在地及び製造者の氏名又は名称」等の表示を義務付けていますが、原則として同一製品を2以上の製造所で製造している場合、したがって包装資材が共有化されている場合には、あらかじめ消費者庁長官に届け出た製造所固有記号の表示をもって「製造所の所在地及び製造者の氏名又は名称」の表示に代えることができます。この場合、消費者に販売される加工食品及び添加物には、応答義務が課されます。
新基準は、一般用加工食品にあっては令和2年4月1日製造分から、業務用加工食品にあっては令和2年4月1日販売分から完全適用になります。上記栄養成分と固有記号の他に留意すべき変更点の概要は以下の通りです。漏れがないか今一度ご確認ください。
添加物は原材料と明確に区分して表示します。一括表示様式においては、事項名として「原材料名」の次に「添加物」を設けたうえで添加物を重量順に表示します。なお、「添加物」の事項を設けず、原材料名欄において、原材料と添加物をスラッシュ「/」等の記号で区分したり、改行して添加物を表示したりする方法も認められています。
アレルギー表示については、個別表示が原則とされましたので、原材料名の直後に括弧を付して、特定原材料等を含む旨を「(○○を含む)」と表示します(「乳」については「乳成分を含む」と表示)。ただし、表示可能面積に制限があるなど、個別表示により難い場合や個別表示がなじまない場合は一括表示が認められています。「(一部に小麦・乳成分・ごまを含む)」等と表示しますが、一括表示においては、特定原材料等そのものが原材料に使用されている場合や、代替表記等で表示されている場合であってもすべてのアレルゲンを省略せずに表示する必要があります。
また、新基準においては、従来の「特定加工食品」とその拡大表記が廃止されましたので、「マヨネーズ」と表示した場合であっても、特定原材料「卵」を含む旨の表示が必要となります(代替表記は引き続き認められます)。
なお、令和元年9月19日に通知「食品表示基準について」が改正され、特定原材料に準ずるもの(推奨表示の対象品目)に「アーモンド」が加わったことにより、推奨品目は21品目となりました(特定原材料(義務品目)と合わせて28品目)。
最後に、新たな原料原産地表示制度は猶予期間が令和4年3月31日までです。計画的に対応することが望まれますが、令和2年4月1日の新基準の完全適用に合わせて新たな原料原産地表示に対応することもできます。また、同時に対応しない場合であっても、今できる準備をしておき無駄に時間を浪費することは避けましょう。今年度は添加物に関する表示の見直しが検討されています。将来の法改正の情報収集や準備にも留意しておくことが重要です。
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