経営の課題だった経理部門の業務改善に着手。仕入先へ発行する通知書の電子化は、成功体験のひとつです。
自動車の燃料用・ブレーキ用チューブなどの製造・販売で国内シェア4割を超える三桜工業株式会社様。すべての国内自動車メーカー、主要な海外自動車メーカーに製品を供給しています。長い間、経営課題だった経理業務の改善を目指し、会計システムの刷新や業務内容の見直しを進め、『BtoBプラットフォーム 請求書』を導入されました。経理部門の改善の取り組みについて伺いました。
ココがPOINT!
- 1取引先の98%が電子化に賛同し、月1万枚の印刷が不要に
- 2計24時間かかっていた作業時間が、1時間に短縮
- 3明細がデータで保存でき、仕入先の作業負担も大幅減
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システムを刷新しても残った、
会計まわりに飛び交う大量の書類
― 沿革と、業務内容を教えてください。
財務本部 経理部長 増田様(以下、増田様):弊社は航空機部品のメーカーとして、1939年に創業しました。戦後は自動車部品の製造業へ進出し、燃料配管やブレーキチューブといった、車の“走る・曲がる・止まる”の根幹を担う製品を供給しています。特定の自動車メーカーの系列に属さない独立系企業としてトップクラスの国内シェアを保ち、すべての自動車メーカーと取引があります。
国内はもとより、世界22ヵ国91ヵ所に製造拠点を展開し、海外主要メーカーにも製品を供給しているグローバルサプライヤーです。
財務本部 経理部長
増田様
― 『BtoBプラットフォーム 請求書』を導入された経緯を教えてください。
増田様:私が着任した2013年ごろは、経理業務の見直しが経営課題となっていました。既存の会計システムは30年前の古い仕組みのままで、国内に分散している各拠点や工場の持つシステム同士も連動しておらず、いわゆるスタンドアローンの状態だったのです。
財務資料を作るにもそれぞれの拠点から財務諸表を本社に集めてエクセルで集計するという手作業が、毎月発生していました。本社では拠点ごとの合算金額しかわからず、苦労して財務報告書を作っても、分析に使えるほどの精度はありません。海外にもビジネスを展開するグローバル企業の財務管理としては、かなり深刻な状況でした。そこで、脆弱な基盤の刷新を目指して2016年に新たな会計システム「SuperStream-NX(以下、スーパーストリーム)」を導入し、まずは全社のデータを集約することができるようになりました。
データを活用し、さらなる効率化に取り組もうと考えていたとき、スーパーストリームと『BtoBプラットフォーム 請求書』を連携させて、請求書業務を電子化するというセミナーを知ったのです。弊社では、仕入先に発行している支払通知書に、毎月膨大な紙の量と手間を費やしていました。
ペーパーレスで効率化が図れるのではとセミナーに参加してみたところ、導入効果のイメージも得られ、実現の可能性を高く感じました。スーパーストリームの機能を活用した領収書や請求書の電子化と合わせたペーパレスプロジェクトの企画が生まれ、すぐに導入に向けた活動を開始しました。
― 支払通知業務には、どのような課題があったのですか?
増田様:支払通知書は、部品や資材などのメーカー約300社に発行しています。検収ベースで支払うため、まず月初に検収明細を郵送して支払予定情報をお知らせします。仕入先に金額の差異がないか確認してもらい、確定した支払額を月の半ばに「支払通知書」として改めて送るという、月2回の作業です。
プリンターをフル稼働させ、1回につき約2500枚あまり印刷していました。その際、弊社の120ある部門別に印刷されるため、送り先ごとに人の手で振り分けねばならず、非常に負担がかかっていたのです。
本社経理グループ 塩野様:月初はさらに、各拠点からも、より細かい取引内容の明細書類が届くので、それも同封するために合わせて仕分けしていました。生産管理システムは過去のデータを保持できないので、取引の記録をとっておくためには紙に印刷するしかなかったのです。そのため、各拠点でもそれぞれ控えをコピーして、大量に保管していました。支払通知書の郵送も含めると、単純に計算して毎月約1万枚の紙を消費していたことになります。
工場経理グループ 田村様:月初は、あわせて5,000枚以上の書類を300社分、無の境地で振り分けていました。他社の明細がまざってしまうといったヒューマンエラーを防ぐためにダブルチェックし、封入の際にも念のため確認します。それも工数が増える原因になり、印刷から封詰めして発送するまで、3人がかりで丸1日かかる作業でした。
工場経理グループ長 佐々木様(以下、佐々木様):検収明細の内容に差異があった場合、明細が届いて2日くらいでご連絡をいただかないと、支払額の確定に間に合いません。取引が多いほど書類の量も膨大になります。仕入先もおそらく、きちんと確認できないこともあったのではないでしょうか。何もご連絡がなければ問題なしとみなして、確定した支払通知書を郵送していましたが、支払った後で金額が違いますとお問い合わせいただくこともありました。
本社経理グループ
塩野様
工場経理グループ
田村様
工場経理グループ
グループ長 佐々木様
企画提案から半年足らずでペーパーレスが実現
― 『BtoBプラットフォーム 請求書』の導入で、課題は解決されましたか?
工場経理グループ 遠藤様:大量の印刷や仕分けといった作業が一切なくなったので、3人で丸1日かけていた時間が、合計1時間足らずになりました。支払通知書の発行はシステムで予約ができ、稼働日や業務状況をみながら毎月2回の発行日に合わせて、前倒しで準備しておくことも可能です。従業員は休みも取りやすくなりましたし、他の経理業務に時間を使えて、残業も減りました。
佐々木様:『BtoBプラットフォーム 請求書』の導入を機に、生産管理システムの取引明細データをスーパーストリームに取り込むようにしたので、各拠点も紙での印刷・保管が不要です。仕入先による検収明細の確認状況もシステム画面から一目でわかりますし、差し戻しが発生しても画面上のやりとりで完結するのでスムーズになりました。
増田様:スーパーストリームと『BtoBプラットフォーム 請求書』の連携自体も、特に何の問題もありませんでした。導入当初から8割以上の仕入先が電子化に移行してくださり、半年後にはパソコンをお持ちでない数社を残して、取引の98%が電子化しました。けっこうあっさりペーパーレスが実現してしまい、今までなんだったんだと思うほどです(笑)。
佐々木様:実は仕入先によっては以前からデータでほしいという声もあったのですが、弊社の会計システムが古く、対応できていなかったのです。アイデアがあっても、長年の慣習はすぐには変えられません。スーパーストリームの導入、『BtoBプラットフォーム 請求書』との連携と、ひとつひとつ成功例を積み上げていけたことで、今は、新たな取り組みも提案しやすくなったと感じます。
工場経理グループ 遠藤様
ITによる効率化で経営貢献も。全社に広がる取り組み
― 今後の展望や取り組みをきかせてください。
増田様:これまでシステムがバラバラだったことで遮断されていた本社と各拠点の経理も、電子化を通じて連携し、成功体験を共有することができました。経理だけでなく事業部にも効率化の影響が及んでいると、手ごたえを感じています。
今後、経理としては効率化だけでなく、管理会計の仕組みや海外子会社の管理・分析などもより高度化させていきたいです。また、社内で行っている経費精算などの見直しも考えています。現在は領収書をスキャンし電子化しています。これを個人がスマホで撮影しその場で経費精算できるような仕組みにまでできれば、経理だけでなく全社が便利になるでしょう。会計システムの入れ替えから順を追って通知書の電子化が成功したように、ひとつずつ、着実に事例を積み上げていくのが結局は業務改革への早道だと思っています。
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BtoBプラットフォーム 請求書
- 請求書の受取・発行を電子化
通知書機能
- 受取側から発行側に対して支払通知書(支払案内書)を作成・発行できる機能です。
設立 | : | 1939年3月24日 |
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事業内容 | : | 自動車・輸送用機器用配管製品や自動車用樹脂製品等の製造・販売 |
代表 | : | 代表取締役社長 竹田 玄哉 |
本社所在地 | : | 東京都渋谷区恵比寿1-23-23 |
企業サイト | : | https://www.sanoh.com/ |
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