1日1,400枚になるFAX注文書の手入力を軽減。
取引先と自社の“見えないコスト”問題を解決します。
洗剤製品のトップメーカー花王。その業務用品や衛生管理サービスを事業者向けに提供する、花王プロフェッショナル・サービス株式会社様。取引案件が増える一方、1日1400枚に及ぶFAXの受注処理に課題を抱えていました。
手作業での入力という非効率な業務に悩む中、2017年に中小企業庁が公募・実施した受発注データを企業間で通信する実証事業に参加。システムによる自動化に取り組みました。顧客の課題を総合的に解決するプロは、どう挑んだのでしょうか。
ココがPOINT!
- 1受注データを基幹システムに自動で取り込み、手入力が解消
- 2商品の改廃で発生していたFAX注文書の修正が解消
- 3取引先に無料のWeb発注方法を提案し、IT導入の負担を軽減
現場における衛生管理のお悩みをトータルサポート
― 沿革と、事業概要を教えてください。
経営企画部 統括部長(以下、統括部長):花王の歴史は明治時代の末期に遡ります。その頃は、石けんといえば舶来物の贅沢品で、国産品は廉価で質の劣るものがほとんどでした。そこで、洋小間物商を営んでいた創業者が試行錯誤の末に、手ごろな価格の高級化粧石けん「花王石鹸」を発売したのです。以来、清潔で豊かな生活文化への貢献を一貫して目指し、洗剤・サニタリー製品のトップメーカー花王グループとして成長してきました。ビューティケアやヘルスケアなど事業領域も拡大し、消費者の快適な暮らしを支えています。
花王プロフェッショナル・サービス株式会社は、厨房衛生用品や洗剤、アメニティ用品といった花王の業務用品の製造、販売を専門としています。食品工場やホテル、病院といった高度な衛生管理が求められる現場の、ソリューションサービスの提供が事業の主軸です。製品を通じて従業員教育や美観、衛生の向上、コスト削減などをトータルでサポートしています。
経営企画部 統括部長
― 顧客企業の現場は、どのような課題をお持ちなのでしょうか。
統括部長:弊社商品のご利用先は大きく分けて、レストランや食品加工工場などのフード業界、病院などのメディカル・介護業界、ホテルやアミューズメント施設などレクリエーション業界の3部門です。いずれも、日々行う洗浄や清掃の衛生レベルは一般家庭とはまったく異なります。感染への注意など衛生管理を怠ると、消費者の安心・安全を脅かし、ブランド価値の低下につながってしまいます。製品やサービスには、プロユースに耐えうる高い専門性が求められます。
一方で、近年の飲食業界などの大きな課題は人手不足です。経験もスキルもばらばらのアルバイトが短期間に入れ替わる上、忙しくて教育に手がまわらない現場は少なくありません。誰が使ってもプロレベルに仕上がる製品が求められます。思わぬ誤使用を防ぐため、誰にでも使いやすい製品の開発と、オペレーションのアドバイスといったご提案も重要になっています。
― 販売とコンサルティング、あわせたお取引をされているのですね。
統括部長:昨今では、食品衛生法の改正で制度化が決まったHACCP※に関するご相談は、とても増えています。弊社の製品を使って、今のオペレーションを変えずにHACCPを導入するにはどうすればといったお問い合わせです。自社で課題を把握されている取引先もあれば、何からはじめたらいいのか手探り状態という方もいらっしゃいます。基準が決まっているわけではなく、お悩みは企業ごとに違います。ただ、人手不足の中、HACCP導入に新たな人手がかけられないのは業界全体の共通課題です。たとえばITによる効率化で解決できないかというニーズの高まりは、非常に感じています。
クッキングペーパー
CHEFたっぷり吸収
※すべての食品等事業者が、2021年6月(制度施行日から1年後)までにHACCPの考えを取り入れた衛生管理を実施するよう求められている。
FAX受注にかかる見えないコストをデータ受注で解決
― IT化に関して、御社は共通EDI(電子データ交換)連携の実証実験を行うなど、積極的に取組まれているようです。
統括部長:2017年に中小企業庁の委託を受けて、業務品の卸・小売業界における共通EDI連携の実証実験を行いました。合言葉は“どこからの受注も、どこへの発注も、ひとつの仕組みで繋げる”です。インターネットを通して受注するシステム『BtoBプラットフォーム 受発注』を利用し、飲食店や卸、弊社以外のメーカーともシームレスにつながる基盤づくりの促進をはかるというものです
カスタマートレードセンター
統合オペレーショングループ部長
カスタマートレードセンター統合オペレーショングループ部長(以下、オペレーショングループ長):実は、『BtoBプラットフォーム 受発注』は2007年に導入していました。しかし、本格的に使いこなすには至らず、受注全体の約4割を取引先のEOS(電子発注システム)で受け、残りの約6割をFAXで受けている状態でした。FAX受注は1件ずつ人の手で社内システムに入力する必要があり、弊社では外部企業にデータ入力を委託していました。取引先数が増えるにつれ、FAXの受信枚数も1日あたり約1400枚に及んでいました。
取引先には、全商品を記載した専用の発注書をお渡ししていたのですが、FAX内容が読み取れなかったり、白紙に商品名だけ書かかれて届いたりする場合があります。このような場合は複数の人が関わり、最終的にお客様の窓口である営業が対応します。また、商品リニューアルでコードが変わっていても、以前の発注書をそのままお使いになって、入力時にコードエラーが起きてしまうといったこともありました。
統括部長:弊社は同じブランドでも常に改良を重ねていて、大規模なリニューアルの際は商品コードも変更します。取引先にはソリューションで課題を解決と、かっこいいことを言っているのに、「今度からこちらを使ってください」と商品コードを修正した発注書を持参し、古い発注書の刷新に時間をとられてしまいます。結局、たった一枚の発注書の不備に大きなコストが発生するのです。本来の営業活動ができない、そういった見えないコストが非常に問題だと感じていました。
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そこで2017年に小規模の飲食店様が無料で発注できる『BtoBプラットフォーム 受発注ライト』機能を導入しました。紙の発注書でのFAX受注からデータ受注へ切り替える取組をはじめたのです。
―『受発注ライト』を新たに導入されたのはなぜですか?
統括部長:オンラインで受発注できる独自のページを作ろうとの声は以前からあったのですが、それは見方を変えると、弊社側の都合です。自社専用ページを作るということは、取引先にそれを強いることになるので、先方にとっても何かメリットが必要です。
ちょうど共通EDI連携プロジェクトの話をいただいた時に、『BtoBプラットフォーム』なら独自システムを構築する必要もなく、飲食業界での認知度も高いと聞きました。『受発注ライト』なら、取引先は無料で使え、導入コストの負担もかかりません。業界で汎用的に使われているシステムであれば、みんなで使えば使うほど利便性が増すのではないかと考えました。
オペレーショングループ長:大きなポイントは、取引先が画面上で入力した注文がそのまま、弊社のシステムに自動で取り込まれるという点です。手入力が不要になったため、作業時間は大いに短縮され、入力ミスの心配もなくなりました。
これまでは商品改廃のたびに営業担当者が発注書を作り直していたのですが、今は私どもの部署が商品マスタの登録を一括管理しています。商品コードは常に最新ですので、コードエラーもなく、効率化につながりました。スムーズで確実な取引は、取引先にとってもメリットといえるでしょう。
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衛生管理だけでなく、データ受発注のコンサルティングにも意欲
―今後の展望をおきかせください。
統括部長:衛生管理に関するコンサルティング営業は長年続けていましたが、受発注業務といった現場の事務的なところには全然入りこめていなかったと改めて感じました。卸様であれば、どう注文を受けて、我々にどう発注しているのかといった知見がまったくなかったのです。取引先の課題解決というビジネスモデルにおいては、今後、衛生の課題だけでなくこういった業務面でもご提案の要素はあると強く感じています。
近年はインバウンド需要も増加しています。美しい、きれいな日本を海外のお客様に体験していただくために、業務用品で家庭から外に出たすべてのシーンに快適で清潔な世界を作っていきます。
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BtoBプラットフォーム 受発注 ライト
- 受発注・請求書業務を最適化
花王プロフェッショナル・サービス株式会社
設立 | : | 1988年3月1日 |
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事業内容 | : | 花王の業務用製品の製造・販売並びに衛生管理に関するソリューションサービスの提供 |
代表者 | : | 代表取締役社長 小澤 正明 |
本社所在地 | : | 東京都墨田区文花2丁目1番3号 |
企業サイト | : | https://pro.kao.com/jp/ |
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花王株式会社
設立 | : | 1940年5月 |
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事業内容 | : | 化粧品事業、スキンケア・ヘアケア事業、ヒューマンヘルスケア事業、ファブリック&ホームケア事業、ケミカル事業の展開 |
代表者 | : | 代表取締役 社長執行役員 澤田 道隆 |
本社所在地 | : | 東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号 |
企業サイト | : | https://www.kao.com/jp/ |
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