スタッフ一人一人が輝ける魅力的な業態を開発。
それを支えるのは、システムを活用した業務の効率化です。
2008年にオープンし、一大ブームを巻き起こした恵比寿横丁。その後も全国の魅力ある食材を活かした産直飲食街を展開し、昔ながらの店の雰囲気を現代に蘇らせ多くの人を集めている。そんな古くて新しい飲食店文化を醸成しているのが、株式会社浜倉的商店製作所の浜倉 好宣社長。見た目も華やかな浜倉社長が見据える先は、食材と人材にフォーカスした、地道な、しかし魅力的な未来だった。
ココがPOINT!
- 1増えつづける商品の管理を大幅に効率化
- 2発注、伝票整理の時間短縮で、スタッフは調理や接客に注力
- 3原価率や人件費を日次で管理。日々の課題をすぐに改善
横丁ブームの火付け役。その視線の先には何が?
― 恵比寿横丁は、2018年で10周年になりますね。
そうですね。そもそも、浜倉的商店製作所は恵比寿横丁を運営するための会社として2008年1月に創業しました。
それまで私は京都、大阪、東京と10代の頃からずっと飲食業界で勤めていました。ただ、費用をかけて作ったキレイなお店も、すぐに似た業態が乱立して1、2年でブームが終わり、廃れていくのを見てきました。そういう時代の変化の早さを目の当たりにしてきて、もっと長く続けられるお店をやりたいと思うようになったのです。
そう考えた時、普段は目立たなくても、なくては困る、その街で必要とされる店を作らないといけないと。テーマとしたのは、昔からあったものが衰退していくのを復元させて、いまの形に蘇らせることでした。そんな時に、恵比寿横丁のある場所にシャッター街になった公設市場を見つけたわけです。
代表取締役社長
浜倉 好宣様― いまも恵比寿横丁が人気の理由はなんでしょうか?
横丁で目指したのは、世代も社会的な立場も取っ払い、人と人が新たに出会える場です。僕らが子供の頃は、そこに行けば誰かがいるという溜まり場がありました。そんなイメージで、横丁を学校とかけて「大人の廊下」と呼んでいますが、いま恵比寿横丁では若い子からおじさん、おばさんまでが一緒になって楽しそうに飲んでいますよ。そういう昔ながらの飲み屋文化みたいなものが、人を惹きつけているのだと思います。
― いま私たちが乗っている「御座船 安宅丸」も新たな事業ですね。
私は前からずっと屋形船での飲食事業をやりたかったんですよ。横浜や神戸には港町文化が栄えていて、船でのディナーも普通にできます。でも、東京にはその文化がないなあと。縁あって、安宅丸での飲食事業を運営させていただくことになりました。今後、さらにブラッシュアップして、普通の居酒屋のように気軽に乗れて、イベントや結婚式の1.5次会などにも使える面白い船にしてきます。
増え続けていた食材管理、でも業態の”魅力”は削りたくない
― 業態が増えると、その分、管理が大変になります。
私の考えでは、効率良くできるところを、できるだけ効率良くしたいと思っています。ただ、効率のみを求めすぎると、例えばABC分析を見て売れないメニューを削除しようとか、あの産地の食材は高いから取引をやめようとか考えてしまいがちです。
でも、せっかくいい食材があるのに取引をやめてしまったら、今度は店としての魅力がなくなります。売れないメニューがあるからこそ、売れるメニューがあるわけです。売れなくても価値のある商品であれば、店に置いておかなければいけません。
とはいっても食材に関しては、産直業態を始めてから新しい食材や産地がどんどん増えています。いま、備品なども含めてですが、24業態で取扱いアイテム数は9,000品、メニュー数だけで1店舗で200点を超える店もあり、その分の食材ですから、とにかくものすごい量です。
私としては、お店のスタッフには100%の力でお客様の方を向いて欲しい。働く店の雰囲気が好きだったり、接客が好きだったり、料理を追求したいと思って働いてくれているスタッフに伝票管理とか費用の計算のような仕事をお願いすると、目が段々と曇ってくるんです。事務処理の仕事に縛られるのが嫌なんですね。それでいずれは辞めてしまう。
アナログの良さを最大化することがシステム化の目的
― スタッフの方に輝いてもらうため、何をされましたか?
店のスタッフがやりたいことにもっと注力できるようにと、まずはシステム化によって発注のやり取りと伝票受領する手間や確認の作業を省力化するために、2013年にインフォマートさんの『BtoBプラットフォーム 受発注』を導入しました。
他にも、勤怠管理のシステムも導入したので、各店の発注情報と日々の売上げや原価、人件費などが、その日のうちに簡単に把握できるようになりました。いまでは、日々の原価率や人件費率を見て、気になるところは即座に見直しするようにしています。
やはり飲食店ですから、人に接して体感させるものはとことんアナログで行く。そしてアナログに力を入れられるように、例えばFLコストの管理などシステム化できるところはシステム化してルーティンワーク化する。その両方がないとダメだと思います。そのためにはシステムが絶対に必要になるのです。
ここまでシステム化をする理由には、もうひとつあります。たくさんの業態があるなかで、スタッフの魅力を最大限に活かした人材のキャスティングをするためにも必要なんです。
― 人材のキャスティングのためのシステム化とは?
うちの直営店は、恵比寿横丁にある3坪のお店もあれば、100坪のお店もあって、店ごとに原価も人件費もまったく違います。色々とお店があるなかで、働く人それぞれに合った人材のキャスティングをして、その人が一番輝けるようにしたいんです。
人材にあったキャスティングとは、もちろん楽しさや働きやすさというのもありますが、それだけではありません。例えば居酒屋業態だと、働く年齢によって、いずれ体力的に厳しいと感じるスタッフが出て来ると思います。
しかし、そういうおじちゃんやおばちゃんが働きたいと思える業態を作るのもキャスティングのひとつです。そうすれば、会社の中で転職するように異動ができます。例えば、業態としてスナックを直営でやることも考えています。居酒屋はしんどいけど、スナックならできるおばちゃんとか、水商売は嫌だけど、おばんざいのお店ならいけるとかね。業態と人材のキャスティングで人の集まる場所を作っていけますからね。それなら何歳になっても会社を辞めずに働いてもらえるでしょう。
要するに最適なタイミングでパッとキャスティングできるようにしたい。そのためはどのスタッフがどの業態に行っても、発注とかタイムカードやレジ回りはスッと使えるようにしておくべきなんです。いまはシステム化されたので社内のどの業態に行っても、共通の仕組みで使えますからね。
― 最後に今後の展望について、教えていただけますか?
今後の展望とかそれほど大きな話ではないのですが、浜倉的商店製作所で作りたいものは昔から変わっていません。洋服でいえばボタンとかチャックのように、普段は目立たなくても、当たり前のように存在してくれないと困るものです。町で言えばなくなっては困る場所づくりです。だから、屋形船もやるし、横丁のように小さい店の集合体もやるし、いろんな引き出しがありながら、みんな1軒1軒違う商売をやっているのです。
今、渋谷と有楽町に横丁を作るプロジェクトがあります。ただ、うちはチェーン店さんのように同じ店を増やそうという意識はありません。あくまで、その街に必要な店を増やしているだけです。今後もさらに業態が増えていくと思いますよ。
メニュー管理機能で、食材、調理手順、アレルギーを管理。
今後は店舗間で共有していきます
MD本部 本部長: 現在、弊社は国内の直営店24店舗、グアム1店舗を展開しています。メニュー数は約6,000点、備品・消耗品も合わせると取扱いアイテム数は、9,000品もあります。インフォマートの発注システム『BtoBプラットフォーム 受発注』の導入前は、各店舗がどんな食材を仕入れているか、納品書を見ないと把握できませんでした。特に産直の魚などは、電話のやり取りも多く、店舗ごとの発注の明細すらわかりませんでした。
発注のシステム化により、日次で仕入れの明細を把握できるようになっています。また本部が店ごとの原価率を掴みやすくなりました。
その他、最近導入した『BtoBプラットフォーム 規格書』にも大きな期待をしています。食材ごとに商品規格書を管理できるため、店舗でお客様からのアレルギーのお問合せがあった時、アレルギー情報をしっかりと追えるようになりました。
また、『メニュー管理機能』を使い、これまで紙で各店舗が別々に管理していた、調理マニュアルが電子化を始めています。最初は紙と同様に、本部側で使用食材やグラム数、調理手順などを入力する必要はあります。しかし各店でマニュアルを作成できるため、重複作業はなくなりました。
またマニュアルと別に調理手順書も作成していますが、こちらも合わせて電子化しようとしています。これまではネギの切り方ひとつとっても5センチ×何グラムと文字だけで説明していましたが、メニュー管理機能ではその情報に写真を追加できます。マニュアルと手順書がシステム上で登録されたことで、本部が作成した情報を、全店に共有し始めています。今後はさらに登録メニュー数を増やして、店舗間の情報共有や調理における人材教育などに役立てていきたいですね。
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BtoBプラットフォーム 受発注
- 受発注・請求書業務を最適化
外食企業様向けパッケージ
- 経営力の強化と他店舗展開を協力にサポート。外食企業のお悩みをまとめて解決できます。
メニュー管理
- レシピごとのアレルギー・原価・食材の原産国、調理工程などのオペレーション管理が可能。
BtoBプラットフォーム 規格書
- 「食の安心・安全」に対応
株式会社浜倉的商店製作所
事業内容 | : | 飲食店の経営並びにプロデュース、商品開発等 |
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代表者 | : | 代表取締役社長 浜倉 好宣 |
本社所在地 | : | 東京都千代田区有楽町2-1-1 International Arcade 5号館 2F |
企業サイト | : | http://www.hamakura-style.com/ |
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